宮崎駿&鈴木敏夫から「覚悟を持ってやれ」、ジブリの“血”を継ぐ米林宏昌最新作『メアリと魔法の花』2017年夏公開

借りぐらしのアリエッティ』『思い出のマーニー』で知られる米林宏昌監督最新作『メアリと魔女の花』が2017年夏に公開されることが発表。本作の製作発表記者会見が15日、都内にて行われ、米林宏昌監督、プロデューサーの西村義明が出席した。

メアリと魔女の花

スタジオジブリにて『借りぐらしのアリエッティ』『思い出のマーニー』を生み出した米林宏昌。2014年末にスタジオジブリを退社し、プロデューサー・西村義明が2015年4月15日に設立したアニメーション制作会社「STUDIO PONOC スタジオポノック」にて製作された最新作の題材は“魔女”。メアリー・スチュアートによる英国児童文学「The Little Bloomstick」を原作として、天真爛漫な少女メアリが、ひょんなことから魔法渦巻く世界に巻き込まれていくところから物語が始まる。

メアリと魔女の花

かぐや姫の物語』『思い出のマーニー』の企画制作を務めたプロデューサーの西村は、冒頭、宮崎駿の引退会見からその後のジブリの体制について「2013年9月、宮崎さんの引退会見を受け、鈴木プロデューサーから『ジブリの制作部は解散する』と言われました。その後、僕らは『かぐや姫の物語』『思い出のマーニー』を作り上げることに全力を尽くし、ジブリの一時代が終わってしまった」と言及。

思い出のマーニー』を制作した後、米林監督と“ジブリではない”次回作について話し合ったといい、「マロさん(米林宏昌)から『作りたいです』とおっしゃっていただいた」と話す。その後、西村プロデューサーはアニメーション制作会社「STUDIO PONOC スタジオポノック」を設立。

メアリと魔女の花

また、第87回アカデミー賞長編アニメーション映画部門に、高畑勲監督作『かぐや姫の物語』がノミネートした際に、現地で開かれたシンポジウムに出席したという西村。『ベイマックス』など世界のクリエイター陣とともに、昨今のアニメーションについて話し合ったといい、「アニメーションの未来について質問が及んだ際に、『ベイマックス』の監督が『世界中の人間が初めて映画館で観るものがアニメーション映画なんだ』と答えていました。つまり、子供達が映画館で初めて観るのがアニメーション映画。影響を受けやすい子供達へ、何を伝えるべきか責任が問われ続けるのがアニメーションの未来。僕は嬉しかったんです、世界にもこういう人がいるんだって。スタジオジブリの概念もそこにあったからです」と熱く語る。

続けて、「ウォルト・ディズニーがいて、その志を受け継いだジョン・ラセターがいる。ジョンの下で働いているスタッフにもその志が受け継がれている。ジブリには宮崎・高畑・鈴木がいる。彼らのモノの考え方、映画作りの姿勢、その志は誰が受け継いでいくんだと思って焦りを感じたんです。ジブリのクリエイターがバラバラになり、宮崎たち3人の志が潰えてしまうことに、さらに焦りました。それから、本当にどのようになるかわからなかったけど、ジブリの“血”を受け継ぐようにスタジオポノックを設立しました」と胸中を明かした。

メアリと魔女の花

最新作『メアリと魔女の花』の企画について、米林監督は「“魔女”という題材をいただいた時には、『え?』と思ったんですが、原作がとても面白いお話で、これを基に、全く新しい違うアニメーション作品を作りたいと思った。『思い出のマーニー』は動と静で言えば“静”の作品。今回は“動”の作品を作りたいと思ったんです」と語る。「『思い出のマーニー』で終わってもいいかなと思っていたんです。でも、もう一本作れるなら、全く違ったものを作って、ある意味裏切りたかった。マーニーが心の中を描いているなら、今回はメアリという女の子が自分の意思で躍動的に動き回る。メアリという女の子は、何をやってもうまくいかない、自分の容姿も気に入らない。そういう女の子が、あるとき偶然不思議な力を手に入れて、冒険の世界に足を踏み入れていく。アクションであったり、エンターテイメントの要素を入れつつ、自分もメアリとともに一歩前へ進もうじゃないかと思ってもらえるような作品を目指しています」と明かした。

本作のクリエイター陣の約8割はジブリに関わってきた人材だと明かす西村。先述したシンポジウムの際に、海外クリエイターへスタジオジブリの良さを尋ねたところ、「共通に“ビューティフルだ”と言うんです。そう言わしめたのが、ジブリが世界に誇る背景美術。今回の美術スタッフは世界一だと思います」と自信をのぞかせる。中でも撮影監督には、宮崎作品の多くに関わってきた奥井敦、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の福士享が名を連ねているという。

メアリと魔女の花

また、スタジオジブリの宮崎・高畑・鈴木へ、スタジオ設立や最新作の製作に関して、何か相談したか問われた西村は「宮崎さんに今回の話をしにアトリエへ伺ったところ、『今すぐ帰れ』と。米林監督の『思い出のマーニー』での苦労を知っていたからこそ、『長編アニメーション映画を作るのなら、覚悟を持ってやれ』と言われました」と吐露。別日に改めて米林監督が一人で伺ったようで、「『いま頑張って作っています』と話したところ、『嬉しい』と言っていただいて。こんなに素直な言葉が出てくる人なんだと驚きました。逆にそれがすごくプレッシャーに感じて、期待に応える作品を作っていかなきゃいけないと、改めて気を引き締めました」と明かした。

鈴木に関しても同様に「覚悟を持ってやれ」と言われたという。「米林監督を中心に、スタッフや宣伝チーム、新しい仲間ができている中、“正解を言う”鈴木さんに揺らいでしまったら、僕はチームがバラバラになってしまうと思った。なので、鈴木さんに相談しないと言ったんです。そしたら『絶対それがいい。自立してやっているのなら俺なんかに相談しなくていい。覚悟を持ってやれよ』と言ってくださった。宮崎さんと同じ言葉を僕らにかけてくれた」と西村は語った。

最後に米林監督は「子供達に何を観せるべきなのかというのは、スタジオジブリでももの凄く考えて作っていたもので。ある意味傷つけてしまうかもしれない、違う道へ誘ってしまうかもしれない、今の時代や観てくれる人たちのことを想像しながら作品を作っていかなければいけない、これが僕たちがやらなければいけない最大の覚悟だと思っています」と語った。

映画『メアリと魔女の花』は2017年夏、全国東宝系にて公開

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Twitter で
映画ランドをインストール