カメラが観客の目となり戦場を駆け抜ける!
ゴールデングローブを獲ってアカデミー賞の大本命と目されていたが、アカデミー賞は『パラサイト』に持っていかれ、公開時期をアカデミー賞発表後にして失敗したかと思いきや、公開直後の日曜日の渋谷はほぼ満席。まずまずのスタートか? 公開前からの話題… 続きを読む
ゴールデングローブを獲ってアカデミー賞の大本命と目されていたが、アカデミー賞は『パラサイト』に持っていかれ、公開時期をアカデミー賞発表後にして失敗したかと思いきや、公開直後の日曜日の渋谷はほぼ満席。まずまずのスタートか? 公開前からの話題は「ワンショット撮影」。ただ、本当の「ワンショット撮影」ではなくて「ワンカットに見える映像」なのだそうな。そう思って見てみると、ブラックアウトした瞬間とか、一瞬主人公が画面から消えて方向が入れ替わる瞬間とか、確かに編集可能なところもある。それでも「これはどうやって撮影してるんだ?」って考えながら見ちゃうけど、考えてもわからない神業のような撮影だ。 さて、主人公は2人の若い兵士。最前線の大佐に将軍からの極秘指令を伝達に行くのだが、その兵士のひとりが『GOT』で後期トメン・バラシオンを演じていたディーン=チャールズ・チャップマンくん!『GOT』ファンとしてはうれしいキャスティング! もう一人は『マローボーン家の掟』に出てたジョージ・マッケイ。今登り調子の若手を主役に起用するあたり『ダンケルク』的でもある。 最前線までの道のりを「ワンショット撮影」で追う映像は、没入感が違う。第一次世界大戦ということもあって『ハクソー・リッジ』みたいな激しい戦闘を期待してもダメだが、主人公のやや後方からの視点から追うカメラは観客の目となり、数えきれない死体が広がる戦場を駆け抜けて行く。 2人の行く先に何が待ち受けているかはネタバレしないように触れずにおくとして、ともかく見終わったときにドッと疲れる。119分、ずっと息を詰めて見る感じだ。映画の終わりと共にやっと肩の力を抜くことができる。 実話に基づく話ということで最後に「アルフレッド・H・メンデス上等兵に捧ぐ」と出るが、これはサム・メンデス監督のおじいさん。サム・メンデスは祖父から聞いたこの話を映画化するに当たり並々ならぬ決意で挑んだに違いない。素晴らしい作品が完成した。 アカデミー賞では撮影賞、録音賞、視覚効果賞の3部門を受賞。将軍と大佐役でコリン・ファースとベネディクト・カンバーバッチも出演。アカデミー賞を賑わせた最後の作品として映画ファンは必見です!