愛ではない何か
starstarstarstarstar - 4年前
※本文にネタバレがあります ネタバレを読む
愛ではない何かに惹かれて過ごした日々が
影と光をもたらす。
映画を見終わった後に、気持ち悪いと、
結局、文はロリコンの異常者で
更紗はストックホルム症候群だと
そう思ってしまった人はきっと普通なんだと思う。
けど、決してそんなことはない。
文は小児性愛者ではないし、
更紗も文に洗脳されてるわけじゃない。
一般的に見れば異常な関係であっても
2人の関係は周りが思うような関係ではなかった。
"普通"の関係だった。
『帰らないの?』
『帰りたくないの』
『うち、くる?』
『うん、いく。』
公園で1人雨に打たれる更紗に声をかけた文
孤独への共感と救いを求めたことから始まる
2人で過ごした日々は女児誘拐事件と騒がれた
文は捕まり少年院から出た後、実家に閉じ込められた。
更紗は事件の被害者として可哀想に思われることにも慣れた。
文には谷さんという恋人ができた。
彼女は文の過去を知らず純粋に文のことが好きだった。
更紗には亮くんという婚約者ができた。
上場企業の正社員で実家は農家で土地を持ってる。
それぞれが幸せを掴もうと、未来を歩んでいた。
カフェでその声を聞くまでは。
文のカフェに通う更紗の変化に亮くんは違和感を覚えて彼女を問い詰める。なんであいつなんだ、なんで俺じゃダメなんだ、目を覚ませ!と。
亮くんなりの愛の形だった。
更紗にとっては文への嫌がらせでも
亮くんにとっては更紗を守ろうと、救おうとした行為だった。たとえそれがエゴだとしても。
亮くんは母に捨てられたと感じている。
だから、自分に依存する相手が欲しかった。
自分なしでは生きられないような人なら自分は捨てられないとそう思ってた。でも思い通りにいかない更紗に遂には手を上げてしまう。いっときの静寂から激情的に更紗を殴る。
ふと我に帰り愛するはずの人を傷つけている事にショックを受けるとともに、愛を伝えようと身体を求める。
亮くんにとっては身体を重ねることが何よりの愛情だとそう信じていたんだと思う。
更紗のためを思っているのに、更紗に手を上げてしまう自分は酷い人間だと自覚しているからこそ、そんな人間にさせる更紗が憎かったし愛おしかった。
あの濁った目、荒れた肌、乱れた髪
怒りと悲しみとどうしたらいいかわからない感情が2人の溝をより深めてしまう。最後は自分を傷つけることでしか振り向いてもらえない。
更紗はそんな亮くんとは違った。
更紗にとってはあの日あの時、
文と手を繋いだ時、たしかに2人は繋がって
その感覚に縋って更紗はこれまで生きてきた。
だから、亮くんの愛がわからなかった。
更紗はアセクシャルなのかもしれない
年上の男の子に襲われる恐怖がまとわりついて
身体を求められることが愛だとは思えなかった
大人になってもうなされるトラウマだった
そんな環境から逃げたいと
そう思っていた更紗に居場所をくれた文
文といると偽りのない自分でいられた
ケチャップは好きなだけかける
ジャンクなピザも好きなだけ食べる
アイスはバケツごと抱えて食べる
文にとっても更紗は特別に見えた
自分にはない自由な更紗が違って見えた
それは憧れのような羨望のような
きっと愛ではない何かだった
2人で、ご飯を食べ、本を読み、会話をする
そんな日々が2人にとっては特別だった
でも、世間から見たらそれは誘拐事件
世間や法律が間違ってるわけじゃない
普通に考えたら小学生を家に返さない方がおかしい
でも、その画一化された認識が真実を曇らせる
文にとっては更紗は性の対象ではなかった
自由を纏う更紗が文にとっては神秘だった。
文は母親から失敗作だと、そう思われていると感じていた。抜かれて捨てられてしまった木の様に。
劇中では明言されないが、
文はおそらくカルマン症候群
第二次性徴が見られない病気
体の線が細く、性器が発達しない、更紗が15年ぶりに会っても見た目が変わらないと感じたのも病気の影響
谷さんとセックスをしなかってのは決して小児性愛者だからじゃない、それを知られるのが何より怖く、出来なかったから。文は性の対象となりえない女の子だけは可愛いと思えただけだった。更紗を見つめたり唇に触れたりしても欲情しなかった、自分が小児性愛者だったらいいとさえ思っていた。
それでも、嘘をついて谷さんを突き放す文は優しい人だった。
谷さんは素直に文のことを恨めたし、真っ直ぐ文を見つめて向き合ってきたからこそ悔しくて歯を食いしばり文を軽蔑できる正しさを持っていた。
文は自身の病気が明るみになることを恐れた。
警察に捕まることは困る、全部バレてしまうからと。
何より更紗に知られたくなかった。
それでも更紗と一緒にいたいと思えるほど
文も更紗のことを大切にしたいと思えていた。
離れている間も更紗のことを想って
水面に浮かび同じ月を見て涙を流せた。
家族よりも社会よりもその誰よりも
文は更紗を1人の人として認めていた
彼女を尊重していた
だからこそ、更紗も文を信頼できた。
更紗は更紗だけのものだ。
誰にも好きにさせちゃいけない。
2人の間にあったのは
愛かもしれないし愛じゃないかもしれない
愛が何を指すか、それは人によって違う
でもたぶん、文と更紗の間にあったのは
お互いを認め合う尊さだったと思う。
名前をつけたり、意味を持たせたりすることで
全てを理解できるわけじゃない。
2人を理解できないという感覚は
2人にとっても私たちへの気持ち悪さだ。
人は見たいようにしか見れない。
善意が悪意に、理解が誤解に。
月の意味は何か、それはわからない。
人によってその意味は変わるのだから。
李監督の作品はいつも重く暗く正解がない
でも、人生ハッピーなことばかりじゃないし、何事もうまく行くとは限らない。そんな現実に寄り添ってくれる感覚がある。
大なり小なり、誰しも何かを抱えていて、何とか日々と向き合ってる。映画の登場人物は特別な存在に見えるけど、自分自身もそんな彼らと変わらない1人の存在なんだと認めてくれてる感覚がある。
それでも最後にはほんの少し微かに光が見えて
きっと大丈夫だって僅かな希望が灯る。
救いがあるんだって教えてくれる。
何回も見たい作品じゃないけど、
ずっと大切にしたい作品。
原作はもう少し続きがあるから読んでほしい。
ふたりの幸福を願う
starstarstarstarstar - 4年前
人は哀しみを抱えて生まれる。
年を重ねながら哀しみに気が付き、哀しみをなんとか しようともがく。
自分の哀しみを、共感できる誰かに出会えればいいが、 出会う相手に嘘をつくと後々相手も傷付けることになる。
人は傷付けるし、傷つく生き者だ… 続きを読む
人は哀しみを抱えて生まれる。
年を重ねながら哀しみに気が付き、哀しみをなんとか しようともがく。
自分の哀しみを、共感できる誰かに出会えればいいが、 出会う相手に嘘をつくと後々相手も傷付けることになる。
人は傷付けるし、傷つく生き者だ。
共にある傷を共に癒せるか、でしかない。
周りは裁くが、法には裁けない、二人だけの癒やしが ある。
性虐待によりセクシャルな行為に嫌悪感や苦しみが伴う 女性と、身体成長にある病にコンプレックスのある男性の プラトニックな感情に共感する。
主演の広瀬すずさん、松坂桃李さん、横浜流星さんは 見応えの演技。
もっと観ていたかったほど。
内田也哉子さんは樹木希林さんかと思うほどの存在感。
演者の凄い演技を作品にした監督と撮影と音楽。
貴重な体験をした。
親ガチャ子ガチャ運命ガチャ
starstarstarstarstar - 4年前
たくさんの見方があって、たくさんの視点があって、それぞれに自分の思うように行動している。そしてそれをまたたくさんの人がたくさんの視点で判断する。
親は選べない。
どんな親であっても親は親で、ましてや手助けが必要な時にどんな酷いことをされよう… 続きを読む
たくさんの見方があって、たくさんの視点があって、それぞれに自分の思うように行動している。そしてそれをまたたくさんの人がたくさんの視点で判断する。
親は選べない。
どんな親であっても親は親で、ましてや手助けが必要な時にどんな酷いことをされようと周りに気づかれない限り変更は叶わない。受け入れるしかない。
子も選べない。
ある意味「捨てる」という選択肢はあるのだが(この映画では多数あり)、遺伝という因果関係もあるが、例えば何かの病気の子など産んだ事実は変えられない。受け入れるしかない。
最近このような環境というか運命について考えさせられる映画が多いような気がする。
自分の努力によって変えられる運命とどんなに努力をしても絶対に変えられない運命がある。運命というか変えられない事実。
「神様は乗り越えられない困難は人間に与えない」というがコレを乗り越えられないような困難の最中に言われたくはない。
ラストは乗り越えられたのだろうか。
全ての出来事を受け入れてラストにだけ身を委ねるだけでいいのだろうか。
何かと考えさせられる映画だった。
答えは出ない。
答えは出ないのだが、ひとつその過程として効果的なことがシーンとして提示されていた。
それは、本を読むこと。
劇的に何でも解決してくれることはないが、気持ちを和らげてくれたり、新たな発見をくれたり、気分を変えることはできる。
以下、ネタバレになるのでごめんなさい。
オレのベストシーンはこれだった。
喫茶店にて店員と客として遠くで本を読んでいる見た目は大人の文と更紗。そこから過去へ飛ぶ。詩集を読む文と赤毛のアンを読む更紗。悪戯に本を取り上げる更紗とそれを2回繰り返されても怒らず受け入れて結局赤毛のアンを読み出す文。同じことを2回がよかった(笑)
ここに2人の関係性やこの映画の意味も詰め込まれている気がした。
この映画はほんとにあらゆるいらないものを剥ぎ落としていけば、ただ子供2人が一緒にいるだけの映画なのだろう。
原作未読だけど
starstarstarstarstar - 4年前
全体的に暗くて静かに進んでいくストーリーは切なくて良かった。
湖や空、月がとても綺麗でした
広瀬さん、松坂さんはもちろん出てる人皆さんの演技が良かった。
更紗の子供時代を演じてる白鳥さんが、ちゃんと広瀬さんと同一人物に見えたという事は白鳥さ… 続きを読む
全体的に暗くて静かに進んでいくストーリーは切なくて良かった。
湖や空、月がとても綺麗でした
広瀬さん、松坂さんはもちろん出てる人皆さんの演技が良かった。
更紗の子供時代を演じてる白鳥さんが、ちゃんと広瀬さんと同一人物に見えたという事は白鳥さんの演技が凄いということか。
あと横浜流星さんが憎く思えたのも、横浜さんの演技が素晴らしかったということ。
内田さんはお母さんによく似てきましたね、これからのご活躍が益々楽しみです
恋では無い愛の形
starstarstarstarstar - 4年前
いやー、役者さんうまかった。
目の動きを含め、なかなか迫真の演技でした。
小説読んでないので、
各親はどないしとんねんとか、
リカちゃんの件はなんでやねんとか、
少年院ならいろいろ確認されているはずとか、
驚愕の事実を週刊誌がどこも取り… 続きを読む
いやー、役者さんうまかった。
目の動きを含め、なかなか迫真の演技でした。
小説読んでないので、
各親はどないしとんねんとか、
リカちゃんの件はなんでやねんとか、
少年院ならいろいろ確認されているはずとか、
驚愕の事実を週刊誌がどこも取り上げないことなんかあるのかとかとか、
腑に落ちない部分はありましたが、
よくできた映画でした。
松坂桃李さんが、採用されたのはもしかしてほかの役で・・・とか思ったりして。
相変わらず、憑依型俳優してますね。
広瀬すずさん、パジャマの上とはいえ、迫真の演技でしたね。
横浜流星さん、役得ですね。私が見た今までの演技の中で一番上手いかと。
他人には理解できない(真実を知ってる人のみ理解出来る)愛ですね。
広瀬すずと白鳥玉季、最高傑作
starstarstarstarstar - 4年前
とって良かった!
映画らしい映画で、とても間が良い。セリフの無い所がとても良い味がある。「ながら」視聴では伝わらない。とても好き。
ストーリーも良かった。こういう話かな、、と思ってはいましたが、それでもどうなるのか最後まで分からなかった。… 続きを読む
とって良かった!
映画らしい映画で、とても間が良い。セリフの無い所がとても良い味がある。「ながら」視聴では伝わらない。とても好き。
ストーリーも良かった。こういう話かな、、と思ってはいましたが、それでもどうなるのか最後まで分からなかった。最後に、そういうことかー、切ない。
ストーリー上でも重要なロリコン描画があります。日本の映画でR指定なしではこれが限界かもしれないけど、なんともセクシーなシーンがあり、とても絶妙だと思います。
広瀬すずは相変わらず良い。
今作はとても難しい役柄で、表と裏の表情が良かった。可愛らしい清楚な無邪気な役も良いけれど、こういう影のある役も出来る素晴らしい女優さんです。
白鳥玉季もとっても良かった。演技が上手いというより自然だった。小学生役ですが、無邪気とセクシーな表現もあり、なんとも微妙な役でした。
2人の魅力を引き出す監督もさすがだなと。
人間の嫌な部分が滲み出ていて良かった。
犯罪?の話だし、人間の嫌な部分が沢山出てきます。また、ロリコン描画があるので、嫌な人はとても不快に思うかもしれませんが、映画としてはとても良かったです。
う〜ん…静かな映画だけどちょー忙しい
starstarstarstarstar - 4年前
すずちゃんも流星も、もちろん桃李含め役者さんはみな素晴らしいです。背景も綺麗に撮影されていますが…何しろカット割りが多過ぎて。
前半は集中しているので、なんとかついていけますが、映画が長いこともあり中盤以降はカット割り入っても、もうどうでも… 続きを読む
すずちゃんも流星も、もちろん桃李含め役者さんはみな素晴らしいです。背景も綺麗に撮影されていますが…何しろカット割りが多過ぎて。
前半は集中しているので、なんとかついていけますが、映画が長いこともあり中盤以降はカット割り入っても、もうどうでも良くなってきました。そのカットの意味があまりにも理解できないからです。
衝撃の結末という言葉に惹かれて観に行きましたが、ラストを含めてわたしには合わなかった。
あんなに時系列を無視してカット割り入れる必要あるのか疑問。
すずちゃんのベッドシーンも必要以上に長過ぎ
(_ _).。o○
この監督の映画は、もう観に行かないと思う。
傑作です
starstarstarstarstar - 4年前
久々にすごい映画観た気がする。
桃李くんが出演したからではなく、桃李くんがこの素晴らしい作品を参加することができて、一ファンとしてほんとに嬉しかったです。
重量感たっぷりの150分
starstarstarstarstar - 4年前
始めに、体力気力が無い時には鑑賞されないことをお勧めします。暗くて重くて胃にこたえます。なにより150分みっちり引き込まれます。かつ鑑賞後、考えさせられること間違いないです。
舞台が都会じゃないのが救い。長野の町並み、風景だけに癒されます。
人生の幸不幸は誰が決めるもの?
starstarstarstarstar - 4年前
人はそれぞれの人生があり、その人生の幸せや不幸せは誰が何によって決めるものなのか?また、決めて良いものなのか?
少なくとも不幸せは誰かが簡単に決めて良いものではない。
それが公然の善意であっても、例え無意識であっても、当人にとっては全く逆の… 続きを読む
人はそれぞれの人生があり、その人生の幸せや不幸せは誰が何によって決めるものなのか?また、決めて良いものなのか?
少なくとも不幸せは誰かが簡単に決めて良いものではない。
それが公然の善意であっても、例え無意識であっても、当人にとっては全く逆の効果をもたらす事がある事を念頭に置いておかないと、その人の一生を狂わせてしまう危険性もある。
また、社会通念として(法的にも)、成人男女(今作では若干違うが)と未成年者(特に児童期)の恋愛や性行は認められていないが、其処にも多くの問題点、疑問視があると改めて感じた。
物語は観る側の思惑通り、不幸な方へ進んで行く。
だがそれも、この先の彼らの人生が不幸なままなのかは誰にも判らないし、他人が決めてしまって良いものでもない。
難しい事とは分かった上で、願わくば全ての登場人物に幸せになってもらいたいと強く思った。