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青春の殺人者 ポスター

青春の殺人者

5.0 132分 1976/10/23 (土) 公開
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あらすじ

青年・順は実家を飛び出して恋人ケイ子とスナックを経営している。仕事でどうしても車が必要になり、仕方なく親を頼って実家に戻った。しかし、両親は以前からケイ子との交際に反対してたので、順のその頼みは冷たく拒絶される。腹を立てた順は思い余って父を刺し殺した。そこに買い物から母が戻ってくる。血まみれで倒れる夫と包丁を手にした順を見て取り乱す母。彼女は順を逃がそうとするのだが‥。

場面写真

キャスト・スタッフ

監督
長谷川和彦
キャスト
水谷豊/内田良平/市原悦子/原田美枝子/白川和子 ほか
配給
ATG

クチコミ

潮風に溶ける、幼き日の肩車。アイスキャンディーに滲む、戻れない夏の名残

- 6ヶ月前
2026年1月31日、惜しまれつつこの世を去った長谷川和彦監督。 享年80歳。 池袋・新文芸坐で開催された追悼特集「ゴジと呼ばれた男 長谷川和彦の凄み」に足を運びました。 スクリーンで対峙したのは、伝説のデビュー作『青春の殺人者』(197… 続きを読む

2026年1月31日、惜しまれつつこの世を去った長谷川和彦監督。 享年80歳。 池袋・新文芸坐で開催された追悼特集「ゴジと呼ばれた男 長谷川和彦の凄み」に足を運びました。 スクリーンで対峙したのは、伝説のデビュー作『青春の殺人者』(1976)、そして制作の裏側に迫るドキュメンタリー『「青春の殺人者」という事件の現場。』(2014)、上映後には監督の長年のパートナーであった室井滋氏が登壇し、稀代の表現者の素顔に触れる貴重なひとときとなりました。 ■「親殺し」という衝撃。30年経っても色褪せぬ初期衝動 中上健次氏の短編『蛇淫』を原作に据えた本作。 私の初見は30年以上前になりますが、今回改めて鑑賞しても、当時に受けた衝撃は1ミリも摩耗していませんでした。 主演の水谷豊氏は、今や「杉下右京」としての理知的で冷静沈着なイメージが定着していますが、本作で見せる姿は正反対。 両親の敷いたレールを脱線し、咄嗟の衝動でその命を奪ってしまう青年・順。 苦悩と悔恨に身を焦がし、感情を爆発させるその演技は、当時『傷だらけの天使』や『男たちの旅路』で同時代の若者の「陰」を一身に背負っていた彼にしか成し得ない適役だと再認識。 ■ 名優たちが織りなす、逃げ場なき家族の地獄図 脇を固める俳優陣も圧巻。 デビュー間もない原田美枝子氏は、瑞々しくも小悪魔的な危うさを放ち、若さゆえの大胆さと繊細さで男を翻弄。 父役の内田良平氏が体現する戦後を生き抜いた男の激烈な厳しさ。 そして何より、市原悦子氏が演じた母親の凄まじさ。 息子への溺愛と一人の女としての欲望が綯い交ぜになったその姿は、観る者の生理を逆撫でするほどに見事でした。 ■ 涙の海辺、そしてゴダイゴの調べ 本作の白眉は、逃走中の順が海辺でアイスキャンディーを食べる回想シーン。 貧しかった父が自転車でアイスを売り、自分を肩車してくれたあの日。 大粒の涙と共に溢れ出す後悔の念は、何度観ても胸を締め付けられます。 また、劇伴にデビュー直後のゴダイゴを起用した感性も鋭いです。 劇中に使用された「想い出を君に託そう」「イエロー・センター・ライン」「マジック・ペインティング」「憩いのひととき」はどれも名曲。 凄惨な物語に重なるタケカワユキヒデ氏の透明感ある英語の歌声は、泥濘のような現実に不思議な浮遊感を与えます。 それはATG作品特有の重苦しさを中和し、本作にアメリカン・ニュー・シネマのような乾いた叙情をもたらしています。 ■ 総評:時代が求めた「不穏な空気」の正体 公開された1976年。高度経済成長が終焉を迎え、80年代の喧騒へと向かう幕間の時期。 本作には、安定期へ向かう社会への漠然とした不安と、行き場を失った若者のエネルギーの充満した空気感も見事に描いていますね。 わずか2本の長編実写映画で日本映画界にその名を刻み続けた長谷川和彦。 彼がスクリーンに焼き付けた「凄み」は、没後もなお、私たち観客の心を激しく揺さぶり続けるでしょう。

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