ど どするん boltネタバレ
これがパルムドール作品
starstarstarstarstar - 8年前
※本文にネタバレがあります ネタバレを読む
感想は私の感情も綯交ぜになってます。同調してほしいわけでもありません。ただ、感じたことを書きます。
今作はとても"温かい"映画です。
家族とは何か。血縁なのか金のつながりなのか、はたまた絆なのか。
血の繋がっていない家族。それでも日々の生活に笑顔は絶えず、口の悪さも信頼の証のように映る。
そんな家族を引き裂くのは正しさ。
血縁や法律という一種の形式でしか判断のできない社会の正しさに、もどかしさを覚える。
家族のバランスが崩れ始めたのはおばあちゃんの死。海ではしゃぐ5人を見ながら樹木希林が何かを呟くシーンはとても印象的に映った。そしてどこか最期を感じさせた。
そのあたりから祥太に変化が訪れる。
祥太は両親を憶えていない。おじさんとおばさんに助けられたと思っていた。万引きも悪いことだとはそこまで感じていなかった。むしろ妹に教えてあげようとするくらい自信もあった。祥太にとって万引きはおじさんと一緒に遊ぶ感覚に近かったのかな。しかし、柄本明が演じる店主から諭され、万引きに対して罪悪感を抱くと共におじさんらの行いに不信感を抱いていく。ラストの祥太がバスに乗る前「わざと捕まった」というのはわざと万引きをして捕まったことを指しているのかもしれない。
それでも、バスに乗ってから振り返り何かを呟くと、それは「父ちゃん」と言っているように見えた。祥太は正しい道を選んだが、決して家族のことは忘れておらず、むしろこれからも家族としての想いは変わらないように思える。
リリーフランキー演じる治は父親が欲しかった。そう思った。拾ってきた息子に自分の名前をつけてお父さんと呼ばせようとしたり、工事現場で祥太の名前を呼んでみたり、父親になりたかったんだと思う。自分がそうして欲しかったように。
安藤サクラ演じる信代は母親を恨んでいた。そう証言したように。だからこそ、自分は子供たちに愛を注いだ。本当の愛は叩くことじゃないと伝えたかった。それでも子供から何て呼ばれてるかと聞かれ、答えられない。そんなものは大事じゃないと祥太には言ったが、本当はそう呼ばれることが大事だったのかもしれない。本当の家族にはなれなかったと、あの時感じたのかもしれない。
松岡茉優演じる亜紀は必要とされたかった。そしてそれがおばあちゃんと信じて。源氏名に"さやか"という妹の名前をつけたのもおばあちゃんにはいじらしいと言われたが、それも本当は両親からの愛が欲しかったから、妹に憧れていたから、なのかな。それと4番さん。池松壮亮は多分喋れない。障がいを抱える自分を殴った彼と思うようにになれない自分を重ねたが故の涙だと思う。「あったかいね」それは物理的というより心がという意味だと思う。
樹木希林演じる初枝は家族のバランスを保っていた。金銭的にも精神的にも。夫や家族を盗られた。そんな思いを持つ初枝もまた家族が欲しかったのかな。決してお金が欲しかったわけじゃないと思う。ある種の復讐だったんだと思う。お金が目的なら使わずにとっておくわけない。そんないじらしさは娘たちにも継がれてる。
りんは言わずもがな。"じゅり"として虐待を受けていた。それでも逃げ場はなかった。そんなときに"ゆり"として迎えてくれる家族がいた。そして遂には"りん"として家族のために万引きをしようとまでした。お兄ちゃんと呼べる仲にもなった。家族がバラバラになっても、お風呂での数え歌を歌ったり、ビー玉の中の世界を覗いたり、また迎えに来てくれるのを待っているようでもあった。
この家族は誰もが自身の持つ傷や心の穴を補い合う関係だったと思う。母親とは、父親とは、家族とは。
今作は現代社会における問題を、詳らかにする。
万引きをして生計を立ててある家族なんていない。犯罪を描くなんて倫理的におかしい。こんな作品ありえない。
そういう人もいると思う。全く間違ってはいないと思う。
ただ、その正しさがこの作品の中の人々を生み出しているのではないか。この作品の本質はとてもリアルな現実だと思う。非正規労働や性ビジネス、軽犯罪といったものは全て"貧困"に結びつく。
それと今作は"性描写"が多い。亜紀の仕事も治と信代の行為も、祥太の性への関心も。これらはそれぞれに問題をはらんでいる。JKビジネスやセックスレス、性教育といった具合に。信代も以前はお店で亜紀と同じようなことをしていたと言っているが、これも貧困の連鎖に近しいものがある。
腕の傷も足の傷も連鎖していってしまうことを描いているのか。それとも繋がりとしての象徴なのか。
海のシーンで樹木希林が血の繋がりがないと「期待しないからね」と言ったが、はたしてそうだろうか。ラスト、誰もが血の繋がらない家族に期待していたのではないだろうか
社会問題ももちろん重要な観点だが、今作では社会問題の中から家族のあり方が問われる。
単純な結末じゃない。それでもこの家族の人生はハッピーエンドであってほしい。
K KUBO 家族を描き続けた是枝監督の集大成
starstarstarstarstar - 8年前
あなたの家族は、この6人の「万引き家族」よりも幸せな家族と言えるだろうか?
カンヌ映画祭パルムドール受賞で話題の是枝裕和監督作品「万引き家族」。
「家族」とはなんだろう?
是枝監督はこれまでも常に「家族」をテーマにした作品を撮り続けて… 続きを読む
あなたの家族は、この6人の「万引き家族」よりも幸せな家族と言えるだろうか?
カンヌ映画祭パルムドール受賞で話題の是枝裕和監督作品「万引き家族」。
「家族」とはなんだろう?
是枝監督はこれまでも常に「家族」をテーマにした作品を撮り続けてきた。「そして父になる」では、産院で子どもを取り違えられた家族を、「海街Daily」では腹違いの妹が同居することになり4姉妹になった家族を描き、「家族と血のつながり」の関係を常に問い続けてきたのだ。
そして本作「万引き家族」では全員が血の繋がらない「擬似家族」だ。
生活は貧しい。土木作業やクリーニングなど低賃金労働をしながら、生活のために万引きをする。親子のコンビネーションで行われるそれはプロの技だ。
ただ貧しくとも彼らの家庭には常に賑やかな会話と笑いにあふれている。どのような関係で集ったのかもわからない7人が、貧しくても幸せそうに暮らすあばら家。
そこに虐待の跡がある幼女リンが加わるところから歯車が狂い始める…。
樹木希林、リリー・フランキー、安藤サクラなど日本最高の演技派、個性派俳優は期待通りの名演。特に今回私が注目したのは、是枝組初参戦の松岡茉優。「勝手にふるえてろ」で個人的に大ブレイクしたこの妹役 松岡茉優が、個性派ぞろいの「万引き家族」をつなぐ要になっていたように感じた。
是枝監督は、亡くなった親の年金をもらい続けていた家族がいた、という実際の事件にインスパイアされて本作を作ったと話していたが、見終わった感想から言うと、「万引き」も「年金」もただのつかみでしかない。是枝監督が描きたかったのは、あくまでも「家族」。
それぞれ過去に傷を持つ人々が、それぞれの素性を隠したまま、幸せに暮らした束の間の日々。子供や孫を持ちたかった老女、父に、母になりたかった男女、DVの待つ本当の父母のいる家に帰りたくなかった幼女。彼らの日々は嘘だったのか? そこに真実はなかったのか? 親子とは、家族とは、血の繋がりだけが唯一の絆なのか? それとも…。
最後に、カンヌのパルムドールである。「ザ・スクエア」「わたしは、ダニエル・ブレイク」「ディーパンの闘い」と並ぶ系譜である。わかりやすいはずがない。人も選ぶし、鑑賞眼も必要とされる。予告編から、ただなんとなくおもしろそうだ、と見に行くと「つまらね〜」とか言うやつも出てきそうだ。
それから、黒澤明、今村昌平と並んだわけで、是枝監督、スゲーなあ。でもきっと次もまた「家族」を描くんだろうな〜。
あ あんくん ハードル
starstarstarstarstar - 8年前
前評判が良くなりすぎると、あれっていう感じになります。それかもしれませんが、僕にはあまり面白くなかった。安藤さくらの演技もハードルが上がって観ているからかあざとく見えました。
よ よしの 面白かった!
starstarstarstarstar - 8年前
親の死を隠して年金を受け取り続けた事件、パチンコに夢中になって車中の子供を死なせた事件、子供を虐待する親…今の日本が抱える社会問題てんこ盛りの中、実の親子以上の絆で結ばれた家族を見れて感動的です。
t toe 何があれば本当の家族になれるのか
starstarstarstarstar - 8年前
面白かったなぁ
家族のあり方について考えさせる作品だった
カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞作品
彼らは、見ず知らずの人が見れば
おばあちゃん、お父さん、お母さん、おばさん、息子、娘 の五人家族
しかし、彼らは本当の家族ではなく
寄せ… 続きを読む
面白かったなぁ
家族のあり方について考えさせる作品だった
カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞作品
彼らは、見ず知らずの人が見れば
おばあちゃん、お父さん、お母さん、おばさん、息子、娘 の五人家族
しかし、彼らは本当の家族ではなく
寄せ集めの家族である
収入は少なく、おばあちゃんの年金をあてにしながら生活している
だけど、彼らの生活はちっとも惨めではなく
彼らは彼らのなりの幸せな日々を送っていた
それは、童話の「スイミー」で
一匹ずつだと小さく弱い魚たちが
みんなで集まって力を合わせて大きい魚と戦ったように
一人一人の生活力は弱いけど
みんなで力を合わせれば
幸せな家族を作ることができるのだ
ということを示している
法律的には正しいけれど、一緒にいて不幸な家族と
法律的には間違っているけれど、一緒にいて幸せな家族
どちらが本当の家族と言えるのかを
この映画は問いかける
家族とは、一体何で繋がっているのか
血なのか、金なのか、それとも愛情なのか
カンヌでも絶賛された安藤サクラが
とても良かった
彼女が流した涙は「愛情があるからこその涙」であり
そんな彼女の深い愛情を容赦なく引き裂くのが、法律だったり条例だったりすることが残念であり、とても悲しいことである
せめて、子供たちばどうしたいのか
誰と一緒にいたいのか
お願いだから聞いて欲しいと切に願った
本当に彼ら家族は悪なのか
思い返すと、なんとも複雑で煮え切らない気持ちが残る作品だった