シャック、奇跡の名演
バスケットボール選手が映画に関わると、基本的にろくなことになりません。『スペース・ジャム』のマイケル・ジョーダンや『ダブル・チーム』『サイモン・セズ』のデニス・ロッドマンをはじめ、数々のNBA選手がハリウッドに散っていきました。 はっきり… 続きを読む
バスケットボール選手が映画に関わると、基本的にろくなことになりません。『スペース・ジャム』のマイケル・ジョーダンや『ダブル・チーム』『サイモン・セズ』のデニス・ロッドマンをはじめ、数々のNBA選手がハリウッドに散っていきました。 はっきり言ってしまうと、バスケットボール選手に演技をさせるのは『アルマゲドン』理論。『ハード・プレイ』のウェズリー・スナイプスとウディ・ハレルソンや『恋のスラムダンク』のコモン、『ワン・オン・ワン ファイナル・ゲーム』のオマー・エプス、『ラストゲーム』のデンゼル・ワシントンといった俳優を見る限り、バスケットボール選手に演技を教え込むよりも、役者にバスケットボールを教え込む方がはるかににリスクが低いと思われます。少なくとも名優ゲイリー・オールドマンが「バスケットボール選手が演技に関わるんじゃない」というネタ動画を作るぐらいには、大根が多いという職業ではあります。 中でもデビュー作の『ハード・チェック』でゴールデンラズベリー賞最低新人賞にノミネートされ、『ミラクル・アドベンチャー/カザーン』『スティール』と2作連続で世紀の怪作に主演したシャキール・オニールは、小学生の学芸会以下と噂れるほどの凄まじい演技力を誇る、最も演技の下手なスポーツ選手の1人といわれています。にもかかわらず、シャックはコンスタントに映画に出演し続けて、出るたびに酷いと評されてきました。 そんな中、2015年に『エイミー、エイミー、エイミー! こじらせシングルライフの抜け出し方』という作品が公開され、事態が一変します。ロマンティック・コメディには恋愛下手な主人公にアドバイスを与える親友キャラクターがよく登場しますが、この映画でヒーロー役のビル・ヘイダーが恋愛相談する親友はレブロン・ジェームス演じるレブロン・ジェームスでした。本人役を演じたジェームスのバスケットボール選手にあるまじき自然かつカリスマ溢れる演技は、世間の認識を十分に変えうるものであり、なんと現在『スペース・ジャム2』の準備中だそうです。 しかしレブロン・ジェームスの映画デビューから3年後に製作された本作は、ペプシマネーで作られた、2時間弱のCMと言っても過言ではなく、更に監督はこの手のコメディを得意とするマルコム・D・リーやティム・ストーリーではなく、主にドラマ作品で活躍するチャールズ・ストーン3世、そして主演の一人は、繰り返しになりますが、小学生の学芸会以下の演技力を誇るといわれるシャキール・オニールと、無謀としか思えない企画です。 にもかかわらず、一人で十分な破壊力を持つバスケットボール選手を6人も起用し、全員にドラマを与え、笑いを取らせることに本作は成功しています。特にシャキール・オニールは、これまでとは別人としか思えない名演を披露しており、開いた口が塞がりません。いずれにせよ、ティファニー・ハディッシュ、ニック・クロール、リル・レル・ハウリーという、現在全米最高峰のコメディアンたちを相手に全く引かない名演を見せた6人の選手たちには、今後も映画出演のオファーが続くことでしょう。